こんにちは、池袋東口託児所「つながり」、保育士の柚木です。
今回はお子様が自分でスプーンやフォークを使って食べるようになるのはいつからか、また使い始める時の目安や注意点等をまとめていきます。
離乳食が進み、食べられるものが増えてくる頃にお子さまの心には「自分で食べたい」という気持ちが生まれます。
「自分でスプーンを使わせてみようかな?」と考えながらも、どんな風に練習させればいいのか分からないという保護者の方もいるでしょう。
そこで、今回はスプーンを始める時期や練習方法をご紹介します。
目次
- 1.子どもがスプーンを使い始める前に
- 2.子どもがスプーンを使い始める目安
- 3.子どもがスプーンを使えるようになるには
- 4.子どもがスプーンを使えるようになっても
- 5.子どものスプーンはどんなものを選ぶのか
- 6.まとめ
子どもがスプーンを使い始める前に
お子様がスプーンを使うメリットはお箸の練習代わりになることや、手づかみ食べと同様に自ら食べる意欲が増したり食べ方を学べること、食べるペースを把握できたりなどが挙げられます。
ですのでスプーンの練習を始める前に、しっかりと「手づかみ食べ」をさせてあげることが大切です。
手づかみ食べはテーブルや食器、床などが汚れるため保護者にとっては困ったことかもしれませんが、お子さまが食べる意欲とお子さま自身が食べ方を学ぶためにはとても大切なことです。
最初は力加減が分からず、食べ物を潰してしまったり、口に入らない量を押し込んでこぼしたりと、見ていてハラハラするかもしれません。
しかし、そのようにして自分の一口の量を覚えていきます。
また、食べ物の大きさや固さ、温度を手で確かめて学んでいくのです。
さらに、手づかみ食べを繰り返していくことで手先が上手に使えるようになり、脳の刺激となって、スプーンや箸への移行がスムーズになるでしょう。
子どもがスプーンを使い始める目安
赤ちゃんの離乳食が完了するのは大体1歳から1歳半になる頃です。
この時期になると食べるペースや順番など意思表示をするようになったり、食べ物や器をつかもうとする姿が見られるようになります。
また奥歯が生えてくるお子さまも多く、ある程度固さのある食べ物を噛んだり飲み込んだりできるようになってきます。
それができるようになるとスプーンの練習を始めることが目安となりますが、必ずしもこの時期にこだわらず、お子さまがスプーンやフォークに興味を示したら、練習を始めてもいいでしょう。
ただ、無理強いをしなくても大丈夫ですし、最初からうまく使えるわけではありません。
スプーンを持ったまま椅子から立って動き出すこともありますので、スプーンを持たせたときは必ず大人がそばで見守りましょう。
子どもがスプーンを使えるようになるには
いざ、スプーンの練習を始めようとしてもどんなステップで進めていけばいいか分からないという保護者のかたもいるのではないでしょうか。
自分の力で食べたいというチャレンジ精神はあるものの、なかなかうまくいかないものです。
ゆっくり焦らず段階を踏んで進めていくことをおすすめします。
スプーンの練習方法
①大人が食べさせてあげる
まずは、いつもどおりスプーンを使って、大人が食べさせてあげましょう。
スプーンで食べ物を運ぶ保護者の様子を見たり、「こうやって食べるんだよ」とスプーンを口に運ぶ姿を見せたりすることでお子さまも使い方を学んでいきます。
②スプーンになれる
食卓にスプーンも置いたり、手渡すなどしてスプーンに触れる機会を作りましょう。
最初はテーブルや器をトントンしてみたり、握っているだけかもしれませんが、つかむ感覚を学ぶことが大切です。
スプーンを与えたら目を離さないように注意してください。
③スプーンに食べ物を載せて、お子さまに渡す
次に、スプーンに一口大の食べ物を乗せ、お子さまに渡し、食べ物が載ったスプーンを、自分の手でしっかり握る練習をしていきます。
スプーンの練習中は、赤ちゃんがスプーンですくう用のお椀とママが食べさせるお椀を分けるとスムーズです。
また口に運ぶまで、手を添えるなどサポートをしてあげましょう。
この頃の赤ちゃんはスプーンの柄を上から握ります。
大人のように鉛筆持ちしませんが、成長とともに2、3歳ごろを目安に大人と同じように鉛筆持ちできるようになってきます。
➃その際、大人も一緒に手を添えてあげ、口に運ぶ練習を繰り返す
最初は、大人の手をスプーンに添えて、口に運ぶ練習を繰り返しましょう。
スプーンをしっかり握り、スプーンと口との距離感をつかみながら、口に入れる練習を重ねていきます。
それに慣れたら次は、お子さま一人でスプーンを握らせ、口に運ぶ練習をしていきましょう。
成功のコツは?
スプーンが上手に使えるようになるためには、練習の時に意識しておきたいコツがあります。それをご紹介しましょう。
◆焦らず、繰り返し練習する
練習をしていると、スプーンを離して手づかみで食べたり、スプーンで遊び始めたりするかもしれませんが、焦らず練習を繰り返すことが大切です。
お子さまのペースを無視して練習を無理強いせず、お子さま自身がスプーンを使いたい時に、親子で楽しみながら練習していくとよいでしょう。
◆食べやすい大きさ、固さのもので練習する
スプーンを上手に握り、口まで運んでも、大きさや固さが食べにくいものだと、スプーンで食べるのが嫌になってしまうこともあります。
最初は、できるだけ食べやすい大きさと固さのものを準備してあげましょう。
野菜やマカロニを入れたスープ、ゼリーなどがすくいやすいのでおすすめです。
また、片栗粉などでとろみをつけてあげると、よりすくいやすくなります。
やわらかいものがすくえるようになったら、じゃがいもや人参をサイコロ状にした固形に挑戦してみましょう。
すくいやすい、深めで縁が立っているお皿で出してあげることもポイントです。
◆汚してもよい環境を整えてあげる
最初は上手にスプーンを使えず、食べこぼしが多くなります。
それが保護者のストレスになると、お子さまは楽しんで食事ができず、練習がスムーズに進まないかもしれません。
スプーンの練習をする時は、床に新聞紙を敷いたり食事用エプロンを着けたりするなど、汚してもいい環境を整えてあげましょう。
また、食事中はエプロンを着けていても、洋服が汚れることがあります。
汚すことを気にせず食べられるように、汚れてもよい服を着せましょう。
食後すぐに着替えられるように、着替えの用意をしておくなど、保護者の食後の片付けがスムーズになるようにしておいてもよいかもしれません。
ひと工夫することで、保護者の気持ちも楽になり、お子さまも楽しんで食事ができるようになるでしょう。
◆食べたい気持ちを大切にしてあげよう
スプーンの練習には、なによりも「食べたい」という気持ちが大切です。
そのためにも、練習を無理強いせず、また、口出しや手出しをし過ぎないようにしましょう。
しかし、毎回自分で食べてくれるとは限りません。
気分がのらないときは、「食べさせてほしい」と甘えてくることもあるのでそんな時は、たまには休憩と割り切ってお子様の気持ちを優先してあげることもいいでしょう。
スプーンは単に食べるための道具であるだけでなく、食事の時間を楽しくしてくれるものです。
スプーンを使えるようになることで、大好きなご飯がよりおいしく楽しいものになるといいですね。
◆遊びの中に取り入れる
オモチャのスプーンを用意するなどして遊びの中でスプーンに触れる機会を作りましょう。
遊んでいる内にしっかり手、指を動かせるようになりスプーンの持ち方なども身についてきます。
子どもがスプーンを使えるようになっても
手掴み食べをすることもありますが、無理にやめさせるとお子様の意欲を削いでしまう事にもなりかねません。
しっかりとスプーンが使えるようになるまでは「たまにはいいか」と受け入れてあげる事も大切です。
また離乳食を始めた頃に、赤ちゃんがスプーンを噛むときがありますが、赤ちゃんがスプーンを噛む理由は感触を確かめているからです。
噛むときは「お口開けてね」と伝えてスプーンを引き抜きましょう。
それを毎日続けて「スプーンは噛まない」ということを伝えていきましょう。
子どものスプーンはどんなものを選ぶのか
スプーンと言っても、さまざまな種類があります。
まずはプラスチックやシリコン、木製、ステンレスなどがあり、離乳食の時期によっても少しサイズや形が違いますが安全な素材のものを選ぶようにしましょう。
その中でも、お子さまが違和感なく口に入れられるものや、お子さまの口に合うサイズ、練習用として持ち手に滑り止めやカーブがついて握りやすいもの、手の大きさに合ったサイズと太さのものなどを選んであげましょう。
まずはいくつか試してみて、赤ちゃんの反応をみるのもおすすめです。
お子さんによってはスプーンの感触を嫌がることもあります。
また、お子さまが好きなキャラクターのものなら、練習のモチベーションをキープでき、「使いたい!」という意欲につながるかもしれません。
スプーン選びのポイント
①持ち手が握りやすく太めになっている
小さな赤ちゃんの手でも握りやすく、柄が太めになったデザインのものを選びましょう。
持ち手に滑り止めやカーブがついて握りやすく、手の大きさに合ったサイズと太さのものがいいでしょう。
②短めのスプーン
離乳食を自分ですくって口に運びやすいのは短めのスプーンです。
短いスプーンなら、食べ物、お口の位置を把握しやすくなります。
③口のサイズに合う
お子様が違和感なく口に入れられて、浅い物を選びましょう。
➃素材選び
【シリコン】
やわらかい素材なので、赤ちゃんの口にやさしく離乳初期向きといえます。
【プラスティック】
ある程度のかたさがあり食べ物をすくいやすいのがプラスティックの利点です。耐熱温度が低いものもあるので食洗機などは使用できない場合があります。
【木製】
見た目のやさしさとぬくもり、そして食事がおいしく感じられるところが魅力です。木でつくられたスプーンは安全ですが、使った後はすぐに洗い乾かすのがポイントです。
【ステンレス】
金属製なので冷たいと感じることもあり、嫌がる赤ちゃんもいる素材ですが、食べ物をすくいやすいという利点もあります。
お子様によっては感触を嫌がる場合もありますので、お子様が好きな感触の物を選ぶとよいでしょう。
まとめ
育児のなかで、子どもが成長するポイントは幾度もありますが、今回のスプーンで食べられるようになるのもその一つと言えるでしょう。
スプーンを使って上手に食べられるようになるまで、たとえ時間がかかったり、こぼしたりしても温かく見守れたらいいですね。
「いろいろな経験が成長につながっている」と気持ちを切り替え、いつかはできるようになるからと気長にやさしく接し、個人差を認めて焦らないことが大切です。
ただし、お子様が集中できる時間は限られているので、遊び始めたりしてきたら時間を決めて切り上げてくださいね。
また、どうしてもうまくいかないときは手を差し伸べてあげることが練習成功のポイントです。
リラックスした状態で一緒に取り組みましょう。
またお子様の指は、小指側から発達しはじめ親指側へと進んでいきます。
スプーンを持ち始めたころは手のひら握り、次に手指握り、そしてえんぴつ持ちへと変化していきます。
無理をせず、子どもの発達に合った持ち方でゆっくりと進めてあげてください。